予期せぬコストについて

by Forexware Team

Wed Apr 18, 2018


取引の成果を評価する際に見落としがちなのが、取引にかかるコストです。取引に一定のコストがかかることはトレーダーの皆さんもご存じでしょう。しかし、取引コストが全体の利益率にどれだけ大きな影響を及ぼしているかについては、マネーマネージャーを含む多くのトレーダーが正しく認識できていないのが現実です。今回のブログでは、その影響についての理解を深め、取引スタイルに応じてどのようなビジネスモデルが適しているのかについてお話しようと思います。

 

まずは、取引コストの定義とその種類についてからご説明しましょう。Investopediaによると取引コストとは、証券を売買する際に生じる経費と定義されています。そして、その取引コストには、事前に想定されたものと想定外のものの2つが存在します。

 

事前に想定されたコストとは、銀行やブローカーなど流動性の提供元により開示されている費用を指します。典型的な例が、ビッド/アスクのスプレッドや手数料、昨今多くみられるようになった月額最低手数料などです。これらのコストが利益率にどう影響するかを算出するのは至ってシンプルです。特定の期間内の取引量にロット毎の取引コストを掛ければ正確な数値を算出することができます。

 

例えば、標準ロットあたり1ドルの手数料が生じる契約で、スプレッドが0.4ピップのEURUSDを取引した場合、取引量100万ドルに対する標準ロット毎の取引コストは約3ドルになります。(スプレッドが0.4ピップで固定されたと仮定した場合。)内訳は、以下の通りです。

 

手数料は、注文が執行される都度発生します。新規注文を出す際とポジションを決済する際にそれぞれ生じるので、今回の例では、1標準ロットの注文が約定するごとに1ドルの手数料が課せられることになります。1標準ロットあたりのスプレッドは4ドルなので、EURUSDの買い注文を新規で出した場合、1標準ロット毎に1ドルの手数料と2ドルのスプレッドが生じる計算となります。このスプレッドの2ドルは、新規注文が約定した際のスプレッドを片道分として2で割った値になります。このポジションを決済する際も1ドルの手数料と2ドルのスプレッドが課せられることになります。よって、取引量100万ドル毎に生じる1標準ロットあたりの取引コストの平均は約3ドルとなります。ここで忘れてはいけないのが、スプレッドは常に変動するということです。実際は、ポジションをオープンする際にスプレッドの1/2をコストとして計上し、決済する際にその時点のスプレッドの1/2を改めて計上することになります。

 

これら想定された経費とは異なり、事前に試算に組み込むことが出来ないのが、スリッページなどの予想できない取引コストです。スリッページとは、要求した価格と実際に約定した価格との差で、通常、市場のボラティリティが上昇した際に生じる現象です。経済指標の発表があった後など、市場参加者の多くが取引を行うにはリスクが高いタイミングと判断した際に売りと買いの需要が一時的に低減することなどから生じます。このような状況下では、ほとんどのブローカーが最良値の次の価格帯で注文を約定させるため、トレーダーにとってはマイナスのスリッページとなることになります。また、スリッページの影響の大きさを把握するには、方向性バイアス(順張り・逆張り)、取引時間(アメリカ・アジア・ヨーロッパ)、取引頻度(スキャルピング・スイングトレード)を含む様々な要素を考慮したうえで判断する必要があります。

 

Rishi N Rang著「Inside the Black Box」によると、全取引コストのうち半分以上の割合をスリッページが占めていると記されています。毎月の想定されたコストを算出して、それを2で掛けてみてください。当該月の損益の何パーセントに値しますか?

 

デモ口座では、流動性が充分に確保された環境に設定されているため、スリッページの影響を確認することができません。注文は、戦略に従い予想通り約定することになります。しかし、いざライブ環境で同じ戦略を試したところで同様の結果を得られないのが現実です。

 

また、スリッページに関しては、全てのブローカーが同じ条件にあるとは限りません。流動性へのアクセスが乏しいブローカーの場合、値動きが激しい時に顧客からの注文を指値で約定させることは困難です。高い流動性を確保できているブローカーであれば、より早く、より指値に近い価格で顧客からの注文を約定させることができます。ブローカーに、経済指標発表前後の流動性の変動やそこから生じる約定結果への影響について事前に確認することも大切です。

 

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